私はこれまで18年間IT業界でエンジニアとして勤務しました。30歳の時にマネージャーとなり、10年近く実際に採用面接官も担当しました。
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私自身もこれまでに4度の転職を経験していますが、いずれも東証プライム上場企業で、数千人から数万人規模の有名企業で採用面接を担当していました。
私の実体験をもとにしたIT転職に関する情報をお伝えします。
30代未経験からIT業界へ転職
結論から言うと、非常に厳しい狭き門ではありますが、不可能ではないと言う回答になります。そうは言っても高学歴や複数資格がダメなんでしょ?と思うかもしれませんが、そう言うわけでもありません。努力次第では誰にでも可能性はあります。
その根拠はというと、今現在IT業界は圧倒的に人材不足です。IT企業でなくともIT人材が必要な世の中で、ITスキルを持った人材は非常に貴重です。
さらに優秀な人材の年俸は年々上がり続けており、必ずしもハイクラスの人材が必要とは限りません。
そんな中、未経験でかつ中堅エンジニアよりも優秀な人材が現れたとしたら、企業としても採用しない手はありません。
つまり未経験エンジニアは仕方なくとる人材ではなく、企業にとって必要な人材ということなのです。
しかし、ここで重要なことは先ほど書いた通り、「未経験でかつ中堅エンジニアよりも優秀な人材」という点です。
未経験なのに中堅エンジニアよりも優秀?こんなことが簡単に実現できたら誰も苦労はしないわけですが、実際に未経験エンジニアとしてのバリューを発揮する方法はこれです。
これを実現できるエンジニア(未経験に限らない)の価値は以下の通りです。
- 短期間でスキルを習得できる能力
- 優れたキャッチアップ能力
- 将来性、伸び代が大きい
この価値が発揮できればたとえ未経験であっても必要とされるはずです。将来の価値がわかるのであれば、最初のうちは安く雇える分企業としてはいいことしかありません。
そして、この価値のいいところはキャリアの長さではなく、むしろキャリアの短さを武器にしているところにあります。
「長年やったけどこれだけしか身に付かなかった」ではなく「この短い期間でこれだけのことが身についた」ということを武器にしてください。
IT関連以外のコミュニケーション能力などについては、過去の経験を活かすことができるはずです。
大手企業や上場企業への転職は可能?
私は実際に大手企業や上場企業で採用を行っていたため、私の体験による回答となりますが、完全に未経験からの採用はかなり厳しいと思います。しかし全く可能性がないわけではなく、会社規模は問わず業界経験が2年ほどあれば採用に至ったケースは何度もあります。
そのため、未経験の状態で最初から大手企業は狙わず希望の企業でなくともエンジニアとしてのキャリアを積むことをお勧めします。
面接の際に見るポイントは、やはり未経験転職と同じで、異業種からの未経験転職でたった2年でこんなにできるようになったのかというのが評価ポイントとなります。
ここで気をつけなければいけないことがあります。IT業界の2年のキャリアであればどんな内容でもいいというわけではないということです。IT業界で最も重要なキャリアは会社の規模ではありません。どんな役割でどんな言語を使った仕事をするかどうかが最も重要です。
IT業界と一言で言ってもさまざまな役割や仕事があります。
例えばフロントエンドエンジニアやバックエンドエンジニア、インフラエンジニアなどがあります。業種として組み込み系やWEB系だったり、バックエンドエンジニアであっても静的型付け言語や動的型付け言語だったり種類はさまざまです。
組み込み系のエンジニアとして2年間の経験を積み、WEB系の企業に転職使用とした場合、ほぼ未経験と同じ扱いになってしまいます。
業界内でも転職の際に最も重要なことはスキルセットがマッチしているかどうかです。企業を選ぶ際はどのようなエンジニアになりたいかを意識しながら業務内容を確認するようにしてください。
IT業界転職に必要な資格やおすすめの資格はある?
資格は対象の知識があることを示すのに最も有効な手段です。資格を持っていない場合はポートフォリオなどを作成し自身の実力を証明する必要があります。
何も証明するものがなければ面接の中で技術的な質問に対して回答することで自身の知識がどの程度のものかを証明するしか方法はありません。
例えばAWSを使用していない会社のプロジェクトチームでは、AWSの知識を持ったメンバーが一人もいない可能性が十分にあります。このように長年エンジニアをやっている人でも使用していない技術に関しては全く知識がないということはよくあります。
この状態で会社がAWSを導入することを決定した場合、メンバーがAWSの知識を習得する必要があるのですが、うまくいかないことがよくあります。そうなると当然AWSに詳しいメンバーを採用しようということになります。
そこで、AWSの資格を持った候補者が現れたとしたら、採用の可能性は高まります。
未経験転職の場合、IT業界の経験がないわけなので、基本情報技術者試験といった資格でも取得する価値はありますが、実を言うとIT業界において資格はそれほど重要視されません。
それはなぜかというと、IT業界では、医師免許や教員免許といった画一的な資格は存在せず、資格を持っているからといって全ての業務ができるというわけではないからです。
特にベンダーが実施している言語の資格などについては持っていないエンジニアの方が多く私もあまり重要視していません。
IT業界で最も必要なことは経験と実績です。そのため、資格以上にポートフォリオの方が重要になります。
補足としては、資格が全く必要ないという意味ではありません。繰り返しますが、未経験で知識を証明する方法として資格は効果的と考えられます。IT業界転職後は経験が重視されるため一度入った後はそれほど効果がない可能性があります。
私のおすすめとしては資格取得よりも、習得したい言語を使用してアプリなどを作成し、ポートフォリオを作成することをお勧めします。
面接ではどういうことを聞かれるの?
私はこれまでに約10年にわたりエンジニア採用の面接に携わってきました。これまで担当した企業の多くでは、以下のような面接の役割分担を行っていました。
- 1次面接:現場リーダーが担当
- 主に技術力をみる
- ズバリ技術そのものについて質問する
- 設計思想や言語思想を把握しているかを確認する
- 言語バージョンアップの際の新機能の把握などキャッチアップ能力について確認する
- 2次面接:現場マネージャーが担当
- 1次面接の再確認
- 技術3割ほどカルチャーマッチ7割
- 人柄の確認を行う
- チームメンバーと馴染めるか採用した際のチーム構成などをイメージする
- 退職、転職リスクはあるか
- グレード(給料)はどの程度が妥当か
- 将来性はあるか
- 同年代エンジニアと比較した場合どうか
- 3次面接以降〜最終
- 2次面接までの採用を再確認
- 2次までは現場メンバーのため、チーム内、グループ内のマッチ度を確認している
- 3次以降は会社全体の基準で確認
私は実際に1次から最終まで担当していました。現場リーダーの時は1次を担当し、マネージャーの時は2次面接を担当と言った感じです。
結局は人が見ているものなので、正当な評価はできていないかも知れません。1時間やそこらの面接時間しかありませんので、お互いのことを短時間で把握するのは非常に難しいことです。
しかし、なぜ未経験からIT業界に転職しようと思ったのか、なぜ大変な苦労を強いられるとわかりつつ挑戦する道を選んだのか、そういった熱い思いや熱意は必ず伝わると信じています。
絶対に大丈夫ということはできませんが、絶対に無理と諦めることなく、IT業界への道を目指してください。
エンジニア面接を乗り切るための一冊をご紹介します。
エンジニアというのはロジカルを好みます。特に面接においては一問一答ではなく、なぜそう考えるのか、どうしてその思考に辿り着いたのかを深掘りします。
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