「単語が覚えられない」
「せっかく覚えても、すぐ忘れてしまう」
英語をやり直している人にとって、語彙の壁はとても大きな悩みです。
多くの人が、単語帳を買って最初の数ページで止まってしまいます。
あるいはアプリで100語連続クリアしたのに、翌日にはほとんど覚えていない。
——そんな経験、ありませんか?
でも安心してください。
その悩みは、あなたの記憶力や努力不足のせいではありません。
問題は、「覚え方」そのものにあります。
この章では、単語帳中心の学び方から一歩進んで、“使える語彙”として身につける方法を提案します。
🔹「使える単語」とは何か?
まず押さえておきたいのは、「覚えている」と「使える」は別だということ。
試しに、「exaggerate(誇張する)」という単語の意味はわかるという人も、
「それを実際の会話や文章で使ったことがあるか」と聞かれると、ほとんどがNOかもしれません。
使える単語とは、“意味だけでなく文脈と一緒に記憶されている単語”のことです。
たとえばこんなふうに覚えると、記憶が強くなります👇
He always exaggerates his stories.(彼はいつも話を大げさにする)
ここまでイメージできて初めて、語彙が「自分の武器」になります。
🔹暗記より「定着」の工夫
では、どうすれば語彙を定着させられるのでしょうか?
重要なのは、「繰り返し」と「つながり」です。
単語を単体で覚えるのではなく、使う・聞く・見る・書くなど、複数の方法で接触することがカギになります。
定着を促す3つの工夫
方法 | 説明 |
---|---|
✔ 例文ごと覚える | 短い例文で文脈と一緒に記憶。意味が“使える形”で入る |
✔ 音声で覚える | アプリや音読で“音”を絡めると記憶が強化される |
✔ 書いたり話したりする | 実際にアウトプットすることで「長期記憶」に移行する |
単語を「1日10個覚える」よりも、「3個を確実に使えるようにする」方が、使える語彙は確実に増えていきます。
🔹語彙力を倍増させる3ステップ習慣
語彙を“定着させながら増やす”ためのシンプルなルーチンを紹介します。
✅ ステップ①:1日1〜3語だけ選ぶ
- アプリや記事、ドラマなどで「この単語使ってみたい」と思ったものをピックアップ
- 多すぎないのがコツ。少ない方が記憶が深くなる
▶ 例
- hesitate(ためらう)
- generous(気前が良い)
✅ ステップ②:例文を作る/声に出す
- 自分で短い文を作ってみる(完璧でなくてOK)
- ChatGPTに例文を作ってもらって音読も効果的
▶ 例文づくり
- Don’t hesitate to ask me anything.(遠慮なく何でも聞いてね)
- She is very generous with her time.(彼女はとても時間に寛大だ)
✅ ステップ③:翌日・翌週に復習する
- 翌朝に「昨日の単語、覚えてる?」と自分に聞く
- 週末に「今週のマイ単語TOP3」をノートにまとめてみる
▶ 記録例
📘 今週のマイ単語
- hesitate(ためらう)
- generous(気前の良い)
- confident(自信がある)
このサイクルを繰り返すことで、語彙は“薄く広く”ではなく“濃く深く”身についていきます。
語彙定着の本質は、実は母語でも同じ
実は、これは英語に限った話ではありません。
私たちは日本語でも、新しく出会った言葉を“なんとなく意味を知っただけ”では使おうとしません。
たとえば——
初めて「僥倖(ぎょうこう)」という言葉を耳にしたとします。
いきなり会話で「それは僥倖ですね」なんて使う人はほとんどいませんよね。
まずはどういう場面で使うのかを調べたり、人が使うのを聞いたりして、
「こんな時にこういうトーンで使うんだ」と理解したうえで、ようやく自分の言葉になっていきます。
そして一度その言葉を「気持ちよく使えた」体験があれば、もう忘れなくなります。
英語も、これとまったく同じです。
単語を“意味だけ”で覚えるのではなく、「どんな時に、どんなふうに使うのか」まで知って初めて、記憶に定着する。
語彙力は暗記力ではなく、「関係づけの力」で育てていくものなんです。
語彙は「覚える」より「育てる」もの
単語帳を買っても続かないのは、あなたがダメなのではなく、方法が自分に合っていなかっただけ。
語彙は暗記ではなく、毎日の生活の中で少しずつ“育てていく”感覚で付き合ってみてください。
スマホで目にした単語を1つメモする。
散歩中に昨日の単語をつぶやいてみる。
日記に1語だけ“今日の英単語”を書いてみる。
そんな“ちょっとした英語”を生活に紛れ込ませることで、単語たちは少しずつ、あなたの中に根づいていきます。
英単語は、短期記憶ではなく「日常の仲間」として覚えていく。
今日出会った単語が、明日もまだそこにある。
その小さな実感が、語彙力を静かに、でも確実に押し上げてくれます。
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