第5章:単語帳は卒業!語彙力を伸ばす本当の方法

大人のやり直し英語

「単語が覚えられない」
「せっかく覚えても、すぐ忘れてしまう」
英語をやり直している人にとって、語彙の壁はとても大きな悩みです。

多くの人が、単語帳を買って最初の数ページで止まってしまいます。
あるいはアプリで100語連続クリアしたのに、翌日にはほとんど覚えていない。
——そんな経験、ありませんか?

でも安心してください。
その悩みは、あなたの記憶力や努力不足のせいではありません。

問題は、「覚え方」そのものにあります。

この章では、単語帳中心の学び方から一歩進んで、“使える語彙”として身につける方法を提案します。

🔹「使える単語」とは何か?

まず押さえておきたいのは、「覚えている」と「使える」は別だということ。

試しに、「exaggerate(誇張する)」という単語の意味はわかるという人も、
「それを実際の会話や文章で使ったことがあるか」と聞かれると、ほとんどがNOかもしれません。

使える単語とは、“意味だけでなく文脈と一緒に記憶されている単語”のことです。

たとえばこんなふうに覚えると、記憶が強くなります👇

He always exaggerates his stories.(彼はいつも話を大げさにする)

ここまでイメージできて初めて、語彙が「自分の武器」になります。


🔹暗記より「定着」の工夫

では、どうすれば語彙を定着させられるのでしょうか?

重要なのは、「繰り返し」と「つながり」です。
単語を単体で覚えるのではなく、使う・聞く・見る・書くなど、複数の方法で接触することがカギになります。

定着を促す3つの工夫

方法説明
✔ 例文ごと覚える短い例文で文脈と一緒に記憶。意味が“使える形”で入る
✔ 音声で覚えるアプリや音読で“音”を絡めると記憶が強化される
✔ 書いたり話したりする実際にアウトプットすることで「長期記憶」に移行する

単語を「1日10個覚える」よりも、「3個を確実に使えるようにする」方が、使える語彙は確実に増えていきます。

🔹語彙力を倍増させる3ステップ習慣

語彙を“定着させながら増やす”ためのシンプルなルーチンを紹介します。

✅ ステップ①:1日1〜3語だけ選ぶ

  • アプリや記事、ドラマなどで「この単語使ってみたい」と思ったものをピックアップ
  • 多すぎないのがコツ。少ない方が記憶が深くなる

▶ 例

  • hesitate(ためらう)
  • generous(気前が良い)

✅ ステップ②:例文を作る/声に出す

  • 自分で短い文を作ってみる(完璧でなくてOK)
  • ChatGPTに例文を作ってもらって音読も効果的

▶ 例文づくり

  • Don’t hesitate to ask me anything.(遠慮なく何でも聞いてね)
  • She is very generous with her time.(彼女はとても時間に寛大だ)

✅ ステップ③:翌日・翌週に復習する

  • 翌朝に「昨日の単語、覚えてる?」と自分に聞く
  • 週末に「今週のマイ単語TOP3」をノートにまとめてみる

▶ 記録例

📘 今週のマイ単語

  1. hesitate(ためらう)
  2. generous(気前の良い)
  3. confident(自信がある)

このサイクルを繰り返すことで、語彙は“薄く広く”ではなく“濃く深く”身についていきます。

語彙定着の本質は、実は母語でも同じ

実は、これは英語に限った話ではありません。
私たちは日本語でも、新しく出会った言葉を“なんとなく意味を知っただけ”では使おうとしません。

たとえば——
初めて「僥倖(ぎょうこう)」という言葉を耳にしたとします。

いきなり会話で「それは僥倖ですね」なんて使う人はほとんどいませんよね。

まずはどういう場面で使うのかを調べたり、人が使うのを聞いたりして、
「こんな時にこういうトーンで使うんだ」と理解したうえで、ようやく自分の言葉になっていきます。

そして一度その言葉を「気持ちよく使えた」体験があれば、もう忘れなくなります。

英語も、これとまったく同じです。
単語を“意味だけ”で覚えるのではなく、「どんな時に、どんなふうに使うのか」まで知って初めて、記憶に定着する。

語彙力は暗記力ではなく、「関係づけの力」で育てていくものなんです。

語彙は「覚える」より「育てる」もの

単語帳を買っても続かないのは、あなたがダメなのではなく、方法が自分に合っていなかっただけ。
語彙は暗記ではなく、毎日の生活の中で少しずつ“育てていく”感覚で付き合ってみてください。

スマホで目にした単語を1つメモする。
散歩中に昨日の単語をつぶやいてみる。
日記に1語だけ“今日の英単語”を書いてみる。

そんな“ちょっとした英語”を生活に紛れ込ませることで、単語たちは少しずつ、あなたの中に根づいていきます。

英単語は、短期記憶ではなく「日常の仲間」として覚えていく。

今日出会った単語が、明日もまだそこにある。
その小さな実感が、語彙力を静かに、でも確実に押し上げてくれます。

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