怒りたくないのに怒ってしまうあなたへ|親子・夫婦関係がラクになる感情の整え方

育児

「なんでそんな言い方するの?」「また同じこと言ってる…」

夫婦の会話の中で、ふとした一言にイラッとしてしまうことがあります。相手に怒っているつもりじゃなくても、つい語気が強くなる。そして、気まずい沈黙。わかってほしいのに、わかってもらえない。そのもどかしさが、怒りに変わってしまう瞬間があります。

親子の間でも同じです。宿題をやらない、片付けない、言うことを聞かない。つい「なんで言うことがわからないの!」と声を荒げてしまう。でも、後から自己嫌悪に陥る。「あの子の気持ちを聞いてあげればよかったのに」と。

怒りの背景には「愛」がある

中野信子さんの著書『キレる!』には、怒りの背景に“オキシトシン”というホルモンが関わっていると書かれています。オキシトシンは「愛情ホルモン」として知られ、家族や親しい人との絆を深める働きがありますが、その一方で、強い「身内意識」が生まれます。

  • 親が子どもをコントロールしたくなる
  • 妻(夫)が相手を束縛したくなる
  • 家族内のルールを乱されると強い怒りを感じる

つまり、「愛しているからこそ」「大切だからこそ」、自分の価値観を相手に押しつけてしまい、怒りにつながることがあるのです。

感情を否定せず「受け止める」ことから始めよう

フィリッパ・ペリー著『自分の親に読んでほしかった本』では、「感情を否定せず、まず受け止めること」の大切さが語られています。

たとえば子どもが怒っていても、「怒るのはだめ!」と制するのではなく、「そう感じたんだね」とまず気持ちを受け止める。そうすることで、心の土台が育っていくのです。

逆に、感情を適切に受け止められないと、「自分の気持ちは理解されない」と学習し、自分の感情表現が苦手になったり、人との関係で過剰反応してしまうようになります。

怒りの裏にある「劣等感」や「無力感」

岸見一郎さんの『怒る勇気』には、怒りはしばしば「劣等感」の裏返しだと書かれています。

怒ることで問題を解決しようとしてしまうのは、他のやり方を知らないから。「うまく説明できる自信がない」「言葉で伝えられない」…そんな“無力感”こそが、怒りを引き起こす原因になっているのです。

怒りに頼らず関係を築くために

怒りは決して悪ではありません。でも、その奥にある「わかってもらえない不安」や「伝える力への自信のなさ」に気づけたとき、私たちは少しずつ、怒りに頼らずに関係を築く力を取り戻せるのかもしれません。

「どうせわかってもらえない」ではなく、「わかってほしいからこそ怒ってしまったんだ」と、自分の感情を丁寧に扱ってみる。

そんな小さな一歩が、よりよい人間関係のきっかけになると感じています。

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